流暢な太陽の談話室

私があまりに美しいから東京はこんなにも明るい

同床異夢

拝啓、親愛なる君へ。

君は私に君を愛させてはくれなかった。

「ぱーんちゅ!ぱーんちゅ!おぱーんちゅ!」

この言葉が今も耳に残る。心に響いた。この言葉に愛おしさを感じる私がおかしいのかな。


恋は落ちるものであり、するものではないが、落とすものではあると思う。

しかし、恋心が滲み出ると思い描いたユートピアは崩壊する。

あと少しで手の届く甘い果実は到底崩すことのできないバベルの塔へと姿を変える。

好意から嫌悪への変化は容易で一瞬だが、嫌悪から好意への変化は至極難解であり時間を要する。


君は私に恋って何なのか。好きとはどういう事なのか聞いてきたね。

それが分からないから今は付き合えないとも言ったね。

これが恋なのかと自覚してから恋をするのはいいと思うし当然のようにも思える。

でも、恋や好きという枠組みに当てはめることばかりに固執するのは故意と呼ぶべきだろう。

頭で考えても分からないなら感じればいい。

私が君を感じさせ、悦に浸らせよう。

言葉にもしたけど、確かにあの夜、君はこの感覚に溺れたはずだ。

それなのに君はもう私の腕の中にも隣にもいない。

どこか遠く見えるはずで見えない場所に消えていった。

しかし、儚い過去の恋慕に終わらせる気はない。

君は後になって気づく。

あのとき振り向いてればよかった、そんな後悔は与えないけれど。

私のところに踏み込めなかったのではなく、踏み込まなかった勇気と変えよう。

数年後、君はより私に相応しいお姫様になっている。

そうして戻っておいで。